AIチャットボットの費用を調べると、月数千円で使えるサービスから、初期費用だけで数十万〜数百万円かかる個別開発まで、幅広い料金が見つかります。どれも質問に自動で答える仕組みですが、料金に含まれる作業や導入後の運用範囲は同じではありません。
管理画面を借りて自社で設定するのか、社内資料の整理や回答テストまで任せるのか、LINEや顧客管理システムと連携するのか。導入後に誰が会話ログを確認し、回答を更新するのかも、必要な費用を左右します。金額だけを比べると、契約後に社内作業が増えたり、必要な連携が追加料金になったりします。
比較すべきなのは、契約時に支払う金額だけではありません。使える状態に整え、3年間運用するまでの総額で判断する必要があります。公開されている相場とAillyの料金を分けて確認し、見積書を同じ条件で比べる方法を整理します。
AIチャットボットの費用相場は種類で変わる
チャットボットは、大きくシナリオ型、AI型、ハイブリッド型の3種類に分けられます。NTT東日本が2026年3月時点の公開情報とベンダー情報をもとに整理した相場では、次の価格帯が示されています。
| 種類 | 初期費用の目安 | 月額費用の目安 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| シナリオ型 | 0〜10万円 | 数千円〜5万円 | 選択肢が決まった定型案内 |
| AI型 | 10万〜100万円 | 10万〜50万円 | 自由入力への回答、幅広い問い合わせ |
| ハイブリッド型 | 20万〜50万円 | 5万〜20万円 | 定型案内と自由入力の両方 |
出典:NTT東日本「チャットボットの費用はいくら?」。実際の料金は、種類、利用件数、支援範囲、契約条件によって変わります。
一方、BOXILが2026年6月に主要26サービスの公式料金を調べた結果では、月額固定型8社の中央値は24,000円でした。初期費用の中央値は0円(n=9)ですが、26サービス中14サービスは月額費用が「要問い合わせ」です。
この2つの調査結果は、比較対象が異なるため矛盾しません。BOXILの調査には、生成AI型だけでなく、低価格のチャット機能やシナリオ型も含まれています。「チャットボット全体の中央値」と「AI型を個別に構築・運用する相場」は別の数字です。種類と必要な支援範囲を決めないまま平均価格だけを見ると、予算を読み違えます。
出典:BOXIL「チャットボットの費用相場は月額24,000円 主要26サービス調査」。
初期費用が安くても、3年総額が安いとは限らない
初期費用0円は比較しやすい条件です。しかし、業務で使うシステムは数か月で終わるとは限りません。少なくとも36か月分を、同じ式で計算して比較します。
3年総額 = 初期費用 + 月額利用料×36 + オプション費用 + 社内運用工数
たとえば、BOXIL調査の月額固定型中央値24,000円を36か月使うと、月額利用料だけで864,000円です。ここに追加アカウント、会話数に応じた従量課金、外部連携、設定を担当する社員の時間が加わります。24,000円は8社の中央値であり、個別サービスの見積もりではありません。サービス間の条件を揃えるための比較基準として使います。
見積書に月額が記載されていても、次の費用が別扱いになっていないか確認します。
- AIが参照するFAQ、料金表、マニュアルを整理する費用
- 回答方針、禁止回答、有人対応への引き継ぎを設計する費用
- LINE、Webサイト、CRM(顧客管理システム)、予約システムと接続する費用
- 会話数やAI利用量に応じた従量課金
- 導入後のログ確認、回答修正、資料更新にかかる人件費
- 障害対応、セキュリティ設定、バックアップなどの保守費
自社設定型は作業を内製することで料金を抑えやすい一方、担当者の時間が必要です。構築支援付きのサービスは初期費用が高くても、資料整理や会話設計まで任せられる場合があります。担当者の時間を0円として扱わずに計算すると、料金と社内負担を含めて比較できます。
見積書は「金額」より先に6つの構築範囲を見る
同じ50万円でも、管理画面の初期設定だけの場合と、問い合わせ履歴を分析して回答や引き継ぎまで設計する場合では、含まれる作業が異なります。比較表には金額だけでなく、次の6項目を並べます。
① FAQと社内資料の整理
登録情報が更新されないままだと、AIが古い情報を参照して回答する可能性があります。料金表、対応範囲、キャンセル規定、営業時間が複数のファイルに分かれているなら、登録前の整理が必要です。「資料を渡せば登録できる」のか、「重複や矛盾を確認し、登録できる形に整える」ところまで含むのかを確認します。
② ナレッジ登録と回答テスト
PDFやWebページを登録しただけで、顧客のさまざまな言い回しに答えられるとは限りません。「料金」「いくら」「予算」「総額」といった表現の違い、前の会話を踏まえた追加質問、資料に答えがない質問を試します。テスト件数と修正回数が見積もりに含まれるかも確認します。
③ 会話設計と有人対応への引き継ぎ
AIが回答を続けてよい質問と、人へ渡す質問を分けます。クレーム、個別の値引き、契約判断、本人確認が必要な手続きには、有人対応へ切り替える設計が必要です。引き継ぎ時に会話の要約や連絡先を担当者へ渡せるかも確認します。
④ LINE・Web・CRMとの連携
Webサイトにチャット画面を置くだけなら、比較的単純です。LINEで会話する、顧客ごとに履歴を残す、営業担当へ通知する、CRMへ見込み度を記録する場合は、認証やデータ項目の設計が増えます。「LINE連携込み」という一文だけで判断せず、受信、返信、履歴保存、通知のどこまで含むかを分けて確認します。
⑤ 分析と改善
導入直後のAIは、資料や回答方針を調整しながら運用します。答えられなかった質問、途中離脱した会話、人へ引き継いだ理由を確認し、内容を更新します。月次レポートの提供だけなのか、回答の修正や資料更新まで行うのかで、必要な運用費は変わります。
⑥ 契約終了時のデータ
見落とされやすいのが、会話履歴と登録データを持ち出せるかどうかです。解約後にログを出力できなければ、蓄積した質問を次の改善に使えません。データの所有者、出力形式、保存期間、削除方法を契約前に確認します。
中小企業に合う導入方式を3つに分ける
機能をすべて盛り込むと費用は上がります。問い合わせ件数、回答の複雑さ、社内担当者の有無、必要な連携に応じて、次の3段階から選ぶと過剰投資を避けやすくなります。
| 方式 | 合う状態 | 最初に外せるもの | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自社設定型 | 質問が定型的で、設定担当者がいる | CRM連携、高度な分析 | 社内工数を総額に入れる |
| 構築支援型 | 資料はあるが会話設計を任せたい | 基幹システム連携、複数部署展開 | 支援範囲と修正回数を確認する |
| 個別開発型 | LINE・CRM・予約・社内DBをつなぎたい | 利用頻度が低い周辺機能 | 保守と仕様変更の条件を確認する |
問い合わせが月に数件で、質問も営業時間やアクセスに限られるなら、高度なAIが必要ない場合があります。一方、料金や契約条件が顧客ごとに変わる、予約前の相談を受けたい、会話履歴を営業へ渡したいといった場合は、単純なシナリオ型では対応しにくい可能性があります。
無料・低価格型で十分な会社
質問が10種類ほどに収まり、答えが季節や顧客によって変わらず、問い合わせ後に顧客情報を別システムへ渡す必要もない会社は、無料または低価格のシナリオ型から試せます。営業時間、アクセス、支払方法、予約ページへの案内など、内容を固定できる情報に範囲を絞ります。
ただし、無料プランでは会話数、登録できるFAQ数、データ保存期間、管理者数に制限がある場合があります。試用時は、回答できたかだけでなく、顧客が途中で離脱していないか、担当者が設定変更を続けられるか、必要なログを取り出せるかも確認します。制限を超えた場合の月額と移行方法を先に調べておくと、運用開始後の見直しに備えられます。
最初から全チャネル、全商品、全部署を対象にしないことも、費用を抑える方法です。よく聞かれる一商品、WebまたはLINEの一チャネル、担当者一人に対象を絞ると、必要な回答と連携を確認できます。
Socratesは自分で構築なら0円から、構築依頼は35万円から
AillyのAIコンシェルジュ「Chat mate Socrates」は、自分でナレッジ登録やプロンプト設定などを行える方なら、構築代行費0円から始められます。35万円からの料金はSocratesそのものの最低利用価格ではなく、Aillyへ構築作業を依頼する場合の料金です。
自分で構築する場合でも、利用するAI、サーバー、外部サービス、LINE・CRMなどの連携内容によって別途費用が発生することがあります。ここでいう0円は、Aillyへ支払う構築代行費を指します。
Aillyへ構築を依頼する場合、2026年8月15日時点の公開価格は、モニタープラン35万円、スタンダードプラン50万円、プレミアムプラン85万円です。
- 自分で構築:構築代行費0円から
- Aillyへ構築依頼・モニタープラン:35万円
- Aillyへ構築依頼・スタンダードプラン:50万円
- Aillyへ構築依頼・プレミアムプラン:85万円
プランごとの正確な構築範囲、月額利用料、LINEや既存システムとの追加連携、税込・税別の扱いは、料金ページの最新表示と個別の見積書で確認してください。掲載内容だけでは判断できない項目は、見積書への明記を依頼します。
Aillyへ依頼する場合の35万円と、他サービスの月額24,000円を単純に比べることはできません。一方は構築代行費、もう一方は複数サービスの月額中央値で、料金の種類も対象範囲も異なるためです。自分でSocratesを構築する場合も、前述の3年総額の式に外部サービス費、追加連携、社内運用工数を当てはめ、条件を揃えて比較します。
見積もりを依頼する前のチェックリスト
ベンダーへ「AIチャットボットはいくらですか」とだけ聞くと、前提の異なる見積もりが返ってきます。次の項目を一枚にまとめて渡すと、構築範囲を揃えて比較しやすくなります。
- 月間のおおよその問い合わせ件数と対応チャネル
- 多い質問の上位10件と現在の回答文
- AIに答えさせない質問と、人へ渡す条件
- 読み込ませる料金表、FAQ、規約、商品資料の量
- LINE、CRM、予約システムなど必要な連携先
- 導入後にログを確認し、回答を直す担当者
- 初期・月額・オプション・社内工数を含む3年間の予算上限
費用対効果をどう判断する?
費用対効果は、導入前に保証されるものではありません。3年総額と導入後の実績を照らして判断します。導入前は、削減できそうな対応時間と問い合わせの取りこぼしを分け、対応時間を「月間件数×平均対応分数×人件費」で試算します。売上への影響は商品単価や成約率に左右されるため、確定した効果として見積もりに入れません。
導入後は、対応時間、AIで完了した件数、人へ引き継いだ件数、答えられなかった質問を記録します。導入前の試算と実績を比較し、回答範囲や連携を追加するか、現状の範囲で運用を続けるかを判断します。
安いチャットボットを探すより、自社に必要な回答・連携・改善作業を先に決め、その範囲を満たす見積もりを比較する方が、導入後に発生する追加費用を把握しやすくなります。
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よくある質問
月額料金だけで比較できますか?
月額だけでは比較できません。初期費用、36か月分の利用料、オプション、従量課金、社内でログを確認・更新する工数まで含めて3年総額を計算します。
AI型とシナリオ型は何が違いますか?
シナリオ型は、選択肢が決まった定型案内に向いています。AI型は自由入力や幅広い問い合わせを扱う前提で、ナレッジ整理や回答テストなどの構築範囲が費用に影響します。
社内工数も費用に含めるべきですか?
含めて比較します。資料の更新、ログ確認、回答修正を担当者が行うなら、その時間を0円として扱うと、実際の負担を含めた比較になりません。
Aillyの料金はどこで確認できますか?
Chat mate Socratesは、自分で構築できる方なら0円から始められます。Aillyへ構築を依頼する場合は35万円からです。構築依頼プランの内容は料金ページで確認できます。外部サービス費、追加連携、各プランの構築範囲は、最新表示と個別見積書で確認してください。
最初はどこまで小さく試せばよいですか?
よく聞かれる一商品、WebまたはLINEの一チャネル、担当者一人など、回答範囲と運用担当を限定します。対応時間、AIで完了した件数、引き継ぎ件数、答えられなかった質問を記録し、次の連携や機能を追加するか判断します。
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