GPT-6.1 SolをAstraやClaude 5.5と比較するときは、API単価や公開ベンチマークの順位だけで採用を決めるべきではありません。同じ業務について入力資料、完成条件、確認方法をそろえ、成果物の品質、完了までの時間、API請求額、人が確認・修正に費やした時間を記録して判断します。

GPT-6.1 SolとClaude Sonnet 5.5は、通常APIの入力単価と出力単価が同じです。ただし、既定の推論設定、キャッシュ読取単価、利用環境、実際の出力量は異なります。複雑な調査や長い手順を扱う場合は、GPT-6 AstraとClaude Opus 5.5も検証候補に加えます。

以下の仕様と提供状況は、2026年10月4日時点の各社公式情報に基づきます。Aillyが4モデルを同じ条件で実測し、順位を付けたものではありません。

複数のAIを業務ごとに使い分ける考え方は、パソコンの中にAIチームを作る方法でも紹介しています。同記事は運用設計の参考資料であり、今回の4モデルを同じ条件で測定した記録ではありません。

4モデルの価格・仕様・利用環境は何が違うか

以下は、通常のAPI利用における公式仕様です。金額は100万トークン当たりの米ドル表記です。チャット製品の月額料金、税、為替、キャッシュ書込、追加ツール、地域別条件、高速モードなどは含みません。

モデルAPI ID公開日入力/出力キャッシュ読取コンテキスト/最大出力
GPT-6 Astragpt-6-astra2026年9月3日$10/$50$11,050,000/128,000
GPT-6.1 Solgpt-6.1-sol2026年9月29日$2/$10$0.101,050,000/128,000
Claude Opus 5.5claude-opus-5-52026年9月22日$4/$20$0.201,000,000/128,000
Claude Sonnet 5.5claude-sonnet-5-52026年9月28日$2/$10$0.201,000,000/128,000

OpenAIの仕様は、GPT-6 AstraのAPI資料とGPT-6.1 SolのAPI資料で確認できます。Claudeの仕様は、Opus 5.5のAPI資料、Sonnet 5.5のAPI資料、Claude API料金表に基づいています。

提供環境も重要な選定条件です。GPT-6.1 Solは、2026年10月4日時点でChatGPT Work、Codex、APIに提供されています。OpenAIの公式発表では、ChatGPTの標準チャットではまだ利用できないと説明されています。利用前に、使用予定の製品名と契約プランを公式情報と照合してください。

GPT-6 Astraの提供環境は、OpenAIのAstra公式発表で確認できます。企業向け環境では、管理者設定や契約条件の確認も必要です。Claude 5.5のAPIは、Claude APIのほか、公式資料に記載されたクラウド環境でも提供されています。

なお、APIのコンテキスト上限は、チャットアプリでも同じ量のファイルを添付できるという意味ではありません。アプリごとの利用上限、対応ファイル、管理機能は分けて確認する必要があります。

GPT-6.1 SolとClaude Sonnet 5.5は同じAPI単価でも何が違うか

GPT-6.1 SolとClaude Sonnet 5.5は、通常APIの入力単価が$2、出力単価が$10です。この範囲では同額ですが、キャッシュ読取単価には差があります。Solは$0.10、Sonnetは$0.20です。

APIが標準で使う推論設定(effort)も異なります。Solの既定値はmedium、SonnetのClaude APIにおける既定値はhighです。ただし、mediumやhighという名称が同じ尺度を表すわけではありません。名称だけを見て、異なるベンダーの思考量や出力特性が同等だと判断することはできません。

比較するときは、少なくとも次の条件を記録します。

  • API IDと実行日
  • effortなどの推論設定
  • 共通指示を含む入力条件
  • 使用したツールと検索の有無
  • 入力トークン、出力トークン、キャッシュ利用量
  • 再実行した回数と理由
  • 成果物の確認・修正に要した時間

例えば、価格表では同額でも、一方だけ再実行や追加修正が必要になれば、仕事全体の費用は変わります。採用モデルは単価表だけで決めず、実際の業務記録を基に選びます。

AstraとClaude Opus 5.5を検証候補に加えるのはどんな仕事か

GPT-6 AstraとClaude Opus 5.5は、単純な案内文を大量に作る用途で常に選ぶべきモデルではありません。SolやSonnetでは完成条件を満たしにくい仕事に絞り、追加で検証する候補です。

追加検証の対象になるのは、次のような業務です。

  • 複数のPDFを読み、引用元と結論を対応させた意思決定メモを作る
  • 長い作業手順を保ちながら、途中の結果に応じて次の処理を変える
  • 複数ファイルにまたがるコードを調査し、影響範囲を確認する
  • 相反する条件を整理し、判断理由を残した資料を作る
  • 調査、操作、文書作成を連続して進める

OpenAIはAstraのAPI資料で、複雑な推論、コーディング、操作、調査、文書作成を用途として挙げています。AnthropicはOpus 5.5の公式発表で、継続的な判断を要する複雑な仕事に向くモデルとして説明しています。

ただし、これらは各社による用途説明であり、検証候補を選ぶための情報です。自社のPDF、書式、禁止事項を使った検証結果ではありません。AstraやOpusを単価だけで除外せず、SolやSonnetでは再実行や修正が多くなる業務に絞って比べると、費用差に見合うかを判断しやすくなります。

公開ベンチマークだけで順位を決められないのはなぜか

ベンチマークの数値は、評価条件とセットで読む必要があります。モデル名と得点だけを切り取ると、自社業務には当てはまらない順位を作ってしまうためです。

確認する項目は、モデルの正確なバージョン、effort、ツール、共通指示、評価ハーネス、fallback、入力、実行回数、指標のバージョンです。条件が異なる数値は、同じ表に掲載されていても直接比較できない場合があります。

実際の公表値も確認しておきます。以下は、2026年10月4日時点のOpus 5.5公式発表とSonnet 5.5公式発表に掲載されたTerminal-Bench 4.0の値です。Aillyによる測定値ではありません。

モデル公表値条件の読み方
GPT-6 Astra57.9%Opus発表の脚注ではhigh effort、OpenAI公表値と記載
GPT-6.1 Solこの2発表に掲載なし旧GPT-6 Solの値で代用しない
Claude Opus 5.566.4%Opus発表の脚注ではxhigh effort
Claude Sonnet 5.570.6%この数値に対応するeffortを発表本文だけでは確定しない

この表だけを根拠に、Sonnetがあらゆる仕事でOpusやAstraより優れているとは判断できません。推論設定や評価ハーネス、安全機能、代替モデルへの切り替え(fallback)までそろった比較かを確認する必要があります。Sonnetの発表で比較対象に入っているGPT-6 Solも、GPT-6.1 Solとは別のモデルです。

Solについては、別の公式評価が公表されています。OpenAIのSol発表では、複雑なPDFに関する質問へ答えるGDP.pdfでfallbackを含むOpus 5.5を上回り、課題当たりの費用は半分未満だったと説明しています。AutomationBenchではmedium設定でOpus 5.5を2.2ポイント上回り、費用は約3分の1と報告されています。いずれも特定の評価条件における結果であり、日本語の営業資料やほかの業務全般に当てはめることはできません。

OSWorld 2.0とOSWorld 2.1は、同じ評価ではありません。GDP.pdfとGDPval-AAも異なる指標です。名称が似ていても、対象とする能力や採点方法を確認せずに数値を並べることは避けるべきです。

公開評価は、検証候補を絞る材料として使えます。一方、日本語の営業資料、社内文書、顧客向け案内の完成品質は、自社の入力資料と受入基準で確かめる必要があります。ベンチマーク1位という理由だけで採用すると、人が修正する時間や利用環境との不一致を見落とすおそれがあります。

同じAPI単価でも仕事全体の費用が変わる理由

通常API単価だけを比較するため、1回当たりの入力を10,000トークン、モデルが生成しAPIで出力として課金されるトークンの合計を2,000トークンとし、100回使う場合を考えます。キャッシュ、ツール、地域別条件、高速モードなどは含めません。

計算式は次のとおりです。

100 ×(入力トークン ÷ 1,000,000 × 入力単価 + 出力トークン ÷ 1,000,000 × 出力単価)

モデル100回分の計算金額
GPT-6 Astra100 ×(10,000÷1,000,000×$10 + 2,000÷1,000,000×$50)$20
GPT-6.1 Sol100 ×(10,000÷1,000,000×$2 + 2,000÷1,000,000×$10)$4
Claude Opus 5.5100 ×(10,000÷1,000,000×$4 + 2,000÷1,000,000×$20)$8
Claude Sonnet 5.5100 ×(10,000÷1,000,000×$2 + 2,000÷1,000,000×$10)$4

この金額は、通常API単価の違いを示すための計算例です。同じ品質の成果物を得られることを示す実測結果ではありません。

実務上の総費用は、実際の出力量、再実行、キャッシュ、ツール利用、人による確認・修正の時間によって変わります。まずはAPI請求額と確認・修正時間を別の指標として記録します。人件費まで金額に換算する場合は、確認・修正時間(時間)×自社で定めた時間単価をAPI請求額に加えて比較します。

2026年10月4日時点のAstraのAPI資料とSolのAPI資料では、プロンプトの入力が272K(272,000)トークンを超えると、そのリクエスト全体に入力・キャッシュ料金2倍、出力料金1.5倍が適用されます。基準になるのは出力トークン数ではなく、入力トークン数です。長い資料を処理するときは、通常単価による試算へこの条件を反映します。

同日時点のClaude API公式料金表のLong context pricingでは、Claude 4.6以降は100万トークンのコンテキスト全体が標準単価の対象です。Opus 5.5とSonnet 5.5もこの範囲に含まれます。ここでの比較は通常のClaude APIを前提としており、キャッシュ書込、サーバー側ツールの追加料金、地域指定、高速モードの条件は別に確認します。

小さな会社が4モデルを同じ仕事で比較する方法

比較では、実際に繰り返している業務を1つ選びます。最初から複数部門の仕事を混ぜると、モデルによる差と業務そのものの差を区別できなくなるためです。

1. 対象業務を1つに絞る

例えば、営業会議用の要約資料を対象にします。「文章作成」のような広い名称ではなく、「同じ議事録から、意思決定事項と担当者を所定の書式でまとめる」と具体的に定義します。

最初に試す業務の決め方は、中小企業がAI導入の第一歩を選ぶためのガイドでも確認できます。

2. 入力資料をそろえる

4モデルに同じ議事録、用語集、出力書式を渡します。PDFを使う場合は、ページ数、ファイル形式、読み取る範囲もそろえます。機密情報や個人情報を扱う場合は、社内規程と利用環境のデータ取扱条件を先に確認してください。

3. 完成条件と禁止事項を書く

完成条件には、必要な項目、文字数、引用方法、書式を含めます。禁止事項には、資料にない数値を補わないこと、根拠を確認できない内容を断定しないことなどを記載します。

営業会議の要約であれば、次のように設定できます。

  • 決定事項を漏らさない
  • 担当者と期限を原文に沿って記載する
  • 未決事項を決定事項に混ぜない
  • 各項目の参照箇所を示す
  • 指定された見出し構成を守る

4. モデルごとの設定を記録する

API ID、effort、ツール、共通指示、入力日時を残します。チャット画面とAPIを混在させる場合は、実行環境も記録します。環境が異なれば、モデル以外の条件も結果に影響するためです。

5. 同じ確認表で評価する

比較シートには、次の項目を設けます。

記録項目確認内容
モデル・API ID実際に使ったモデルを特定できるか
設定effort、ツール、共通指示を残したか
成果物の完成度必須条件を満たしたか
修正箇所誤り、抜け、書式違反を記録したか
経過時間実行開始から完成まで何分かかったか
API請求額管理画面などで確認できる金額はいくらか
確認・修正時間担当者が何分作業したか
採否理由採用または見送りの理由を説明できるか

結果を「文章が自然だった」という印象だけで終わらせないことが大切です。必須条件を満たした項目数、修正箇所、確認に要した時間を残せば、次回も同じ基準で比較できます。

業務別に最初の検証候補をどう絞るか

すべての業務で4モデルを試す必要はありません。公式の用途説明と自社の利用環境を基に開始候補を選び、完成条件を満たせない場合に候補を追加します。

対象業務最初の検証候補比較時の重点
定型的な案内文Sol、Sonnet禁止事項、書式、修正量
会議録の要約Sol、Sonnet決定事項の抜け、確認時間
範囲が明確な文書作成Sol、Sonnet完成条件、出力量、再実行
複数PDFからの調査Sol、Sonnetに加えてAstra、Opus引用元、抜け漏れ、判断根拠
複数ファイルのコード調査Astra、Opusを含める影響範囲、検証手順、修正精度
長い手順と途中判断が続く業務Astra、Opusを含める手順維持、判断記録、完了率

この表は採用結論ではなく、同じ条件でテストを始めるための候補表です。複数PDFの調査でも、SolやSonnetが完成条件を満たす場合があります。反対に、短い文書でも固有の制約が多ければ、別の候補を試す必要があります。

モデルを選んだ後は、AIへ渡す社内知識も整えます。AI社員の「脳」をどう設計するかでは、知識と業務手順を分けて管理する考え方を解説しています。

比較結果から採用モデルを決める判断基準

最初の判定基準は、必須条件を満たしたかどうかです。引用元が必要な業務で出典を示せない場合や、禁止事項に反する内容が残る場合は、低価格でも採用候補から外します。

必須条件を満たしたモデル同士は、次の順で比較します。

  1. 成果物に重大な誤りや抜けがないか
  2. 担当者が許容できる修正量か
  3. 利用中のシステムや権限管理に適合するか
  4. API請求額と確認・修正時間を別々に比べ、金額換算する場合は自社の時間単価を適用した合計が妥当か
  5. 再実行しても結果が大きく崩れないか

採用方法は、1モデルへの全面統一だけではありません。定型業務はSolまたはSonnetで運用し、複雑な調査だけAstraまたはOpusへ振り分ける方法もあります。業務ごとに入力形式と完成条件を固定しておけば、モデルを変更したときも同じ条件で再評価できます。

継続して運用する場合は、API費用だけでなく、確認時間と差し戻し件数も月単位で記録します。モデルの更新や料金改定があったときに同じ比較課題を再実行すれば、変更前後の差を共通の基準で判断できます。

GPT-6.1 Sol比較でよくある質問

SolとSonnetは同額ならどちらを選べばよいですか

同じ入力資料と完成条件で試し、必須条件を満たした候補から選びます。API請求額と確認・修正時間は別々に記録し、自社の利用環境に適合する方を採用候補にします。

AstraやOpusは高単価でも試す価値がありますか

SolやSonnetでは完成条件を満たせない複雑な業務なら、検証候補に加える余地があります。複数資料の調査、長い手順、途中判断が続く作業などが対象です。単価の高さから品質を推定せず、再実行の回数や人が修正に費やした時間まで測ります。

公開ベンチマークで1位のモデルを選べばよいですか

ベンチマークだけでは決められません。effort、ツール、ハーネス、fallback、指標のバージョンが異なる場合があります。候補選定には使えますが、採用前には自社の入力資料と完成条件で検証します。

API仕様の約100万トークンをチャットアプリでも使えますか

APIのコンテキスト上限と、アプリの添付上限や利用上限は同じではありません。利用する製品、契約、管理設定ごとの条件を確認してください。

比較テストでは何を記録すべきですか

モデル名、API ID、effort、入力資料、完成条件、経過時間、API請求額、修正箇所、確認・修正時間、採否理由を記録します。再実行した場合は、その回数と理由も残します。